作風の話 その2

　私は一貫して人間の交流だけを描いたみたいな、良く言えばシンプル、めちゃくちゃ悪く言えば誰でも作れそうな話ばかり描いています。殴り合ったり冒険したりギャンブルしたりはしませんし、魔王とか悪の組織とかが出てきたりはしません。包丁やナイフを振り回したり棒状の物を突っ込んだりはしますし、少女にトラウマを植え付けるやべー女が時々出てきたりしますが。うーん、地獄絵図。
　誰でも作れそうなって本当に嫌な書き方をしましたけども、世の中バトル漫画とか冒険漫画とかいっぱいあるけど、よほどなんか変わった作風じゃない限り全部根っこに登場人物の感情の動きがありますよね。だから私が作ってるようなのは根っこだけの装飾が少ない感じのアレ的なアレなので、特別知識とか必要なく、感情さえあれば作れるのでそういう意味でそう書きました。実際は味付けが薄い分素材の味で勝負とかそういう話になるんだろけど、私は今のところコレ系しかまもともに描いたことがないのでその辺はわからんちんです。
　大体漫画って描きたいものがあるから描くものなんだと思うんですけど、その1で書いた愚痴を抜きにしても、私はとにかくでかくて重い感情が好きなのかもしれません。中学生の頃からメンタル系の中二病が治らず、ユング心理学に興味を持ち、そしてそのユングの性格分類をネットでやると必ず内向型といわれ、自分のご機嫌取りに毎日奔走するような人間なので、外側よりも内側に強い関心があるのだと思います。他人や自分の感情を見て「どういう理由でこの感情が出力されているのか」とかそういう事を考えるの好きですし(もちろん的外れやゲスパーは承知の上です)。比べようがないので実際どうなのかは分からないのですが、自分の感情の解像度は人よりも高く見えているかもしれません。いっぺんそういう、他人が世界をどういう風に見てるのとか体感してみたいですね。それで自分の見る世界が人と比べてあまりに醜いと分かったら絶望するけど。
　そんな感じで人間の内面が好きです。特にトラウマとか、性とか、あまり外に出さないような部分が好きなんだと思います。あまり外に出ないプライベートな部分って肉体でいうと裸みたいなもんだし、もはやエロスだと言っても過言ではないでしょう。みんなエッチなの好きでしょ？私も好きです。ので醜い本音のぶつけ合いは裸の肉体のぶつけ合い、つまり実質性交渉だし、私の漫画は実質性交渉しまくりの実質エロ漫画です。…冗談です。

　なんかそれっぽいことをつらつら書きましたが、逆にバトルとか冒険とかが描けないので多分全部ただの言い訳です。絵は描けないわ、面白い設定は作れないわ、何をどうやったら面白くできるのか全くわからんわでマジでカスです。未就学児〜中学生ぐらいのころはバトルっぽいものは描いてたし、新都社デビューしてからもSF的なやつを考えた事はあるにはあるんですが、作者のひいき目から見ても全部ダメダメのダメでした。まあそもそも今と別ジャンルの話を作りたい意思があまりないのですが、ないくせに作れないことが謎にコンプレックスになってます。心の奥底で本当は作りたいと思っているのかも…。