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プロットの話



 海底の残光のコメントお礼ページやツイッターで見て知ってる人は知ってるかもですが、私はネームを描く前に台本に近い形の詳細なプロットを書きます。あらすじでもなんでもなく本当に台本だからプロットといっていいのか分からなくて、少し前まで「台本みたいなやつ」と微妙に濁したような呼び方をしていたぐらいです。でも最近人に見せたらプロットと呼ばれ、「あ、プロットって呼んでええんや…」と思ったので最近は素直にプロットと呼んでます。
 知らない人向けにどういうものなのか紹介しとくと、例えば全員滅多刺しにしたかった君と許されない私の一話のこのページ↓だと




プロットでは

透織「んー…旅人?」「おうちともバイバイしちゃった」
日向「あ…」「あー」
透織「まーでも、日向が元気そうでよかったよ」「昔っからなんか弱そうだったからさ、心配してたの」
ヘラヘラしているが自分の手を揉んで視線をキョロキョロさせている透織を観察してる日向
透織「ほら、中学ん時さ、部活で5キロ走っただけでゲロ吐いてたじゃん」
日向「はは…」「……」


となってます(多少読みやすく書き換えたりしてますが)。こんな感じのを最初から最後まで書いています。人によってプロットの書き方が違うのは理解した上で、割とみんなこれぐらい書いてるんだと思ってたんですが、どうやらそうでもないらしい事を最近知ってびっくりしました。大筋や大事な台詞は決めておいた上で、細かい会話の流れとかはネームで悩む感じが主流なんでしょうか?知らんけど。それって描いてて不安じゃないの?って思います。あと私は頭の中だけにシーンを置いておくと延々そのシーンばかりこねくり回して進まなくなっちゃうから書き出してリリースしてるとこもあるので、みんなは延々こねくり回さないのかなと気になります。
 この台本みたいなプロットを書いてる間も、ぼんやり頭の中でネームができてるようなできてないような感じです。ここは大きいコマでこういう絵に、ここはこういう絵で3コマ使ってこういう動きをさせるぞ、みたいな。実際にネームにしてみるとなんやかんやうまくいかないこともままありますが。あと実写映画みたいな映像がぼんやり流れてるような感覚もちょっとあります。会話の間とかはそれで計ってる感じがします。

 しかし、上で説明に使ったページを見て「ん?」って思った方もいるかもですが、このプロットからネームになる時に結構シーンが前後したり台詞が増えたり減ったりします。このまま漫画になりそうな感じのプロットですが、それでも平気で変わります。「漫画という表現の性質上、コマを置ける位置に制約があるので尺が余ったり足りなかったりする」…というレベルじゃないくらいです(そもそも1ページで1ターンの縦スクロールの漫画にコマの位置の制約はないに等しいのではと思う今日この頃…)。昔はそうでもなかったけど最近は本当に変わりまくりますね。ネーム力(りょく)の成長にプロット力(りょく)の成長が追いついてないんでしょうか。いうほど成長してるのか知らんけど。でも最近見開きの使い方を知ったので褒めてください。逆に今まで知らなかったことは笑ってください。
 脱線したので話を戻して、プロット→ネームで特に変わったかなってページを例に挙げると、






↑のページですが、プロットでは

二人で会う、透織はスーツケースを引いてる
「とお…ちゃん…だよね?」と不安げな日向
透織「や〜、豊郷日向さん」「桜川さんちの透織ちゃんで〜す」


だけで、のちに繋がる別のシーンから、

マクド的な場所に移る二人
透織「マジで中学ん時から顔変わってなくて草」「不老なの?」


という台詞を引っ張ってきています。プリクラの描写は完全にネームの時に思いついたアドリブです。ひとつ前の漫画の好きな作業の話で書いた映画のたとえでいうと、役者も監督も思い付きでアドリブしまくるので、脚本家がビキビキしてるような状況です。まあプロットを書く時とネームを描く時とで間の感じとか全然違うので、これは仕方ないことなんだと思います。こんなでもプロットをちゃんと作った上で改善してる形なので、プロットをちゃんと書かないとうまく上に積みあがらないんですよね。大筋以外は無視されまくるのを分かってて脚本を書いてる脚本家、気の毒〜。

 何がどうなってこんなのを書くようになったのかって話ですが。
 元々幼き頃に自己満足と身内向けに描いていた頃はプロットはなく、ネームもなければ下書きもないのでぶっつけで描いては墜落事故を頻繁に起こしていました。子供が描く漫画なんてそんなもんです。「先にお話を書き出しておく方が楽では?」と思ってメモ帳にプロットを書いたのが迷アニリメイク前の最終回でした。
 その後描いた四コマ漫画では、ネタを書き溜めておくのにガラケーのメモ帳に台本のようなものを書いていました。1行1コマとして台詞と行動を書いていた感じで、絵を描いてないだけのネームって感じです。その後四コマじゃない漫画を描いた時、四コマを描くのと同じ感覚でスマホのメモ帳に台詞を台本みたいに書いて、それを元にネームを描く感じになりました。要するに四コマ漫画と同じ感覚で、ネームの前のネームみたいな感じっぽいですね。それを10年ぐらい続けて今に至ります。

 「私のせいじゃない」から先の漫画で迷アニ以外は、このプロットを最後まで書いてから連載を始めてます。書いてないと迷アニみたいに「描く意思はあるけど先が思いつかない」って状態で止まっちゃうし、(迷アニは積み上げるだけだからいいとしても)最後までルートが決まってないとフラフラと迷走したあげく墜落してしまうのです。…とはいうものの、たとえ結末まで先に決めていても「悪い意味で続きがありそうな終わり方をする」「終盤の展開が異常に早い」をよくやらかすので、プロット以外の要因で墜落事故は起こしてるかもなあと感じます。精進します…。



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